はじめに
11月のフルマラソンを目標にしている場合、8月はレースの約3か月前になります。
そろそろ本格的にマラソン練習を始めた方がいい?
暑い8月はどんな練習をすればいい?
と悩むランナーも多いのではないでしょうか。
私自身、8月はフルマラソン本番に向けて非常に重要な時期だと考えています。
ただし、真夏の8月に30km走やマラソンペース走を無理に行い、フルマラソン仕様に仕上げる必要はありません。
8月の目的は、9月・10月に本格的なマラソン練習を行うための土台を作ること。
そこで私がおすすめしたいのが、
・2部練で距離を踏む
・中強度走
・200mレペティション
の3つです。
一見するとまったく違う練習ですが、それぞれ役割があります。
2部練で「距離」を踏む。
中強度走で「フルマラソンへの仕上げ練習の土台」を作る。
200mレペティションで「ランニングエコノミー」を向上させる。
フルマラソンへの能力向上に直接効果のある練習ではありませんが、この時期に実施することで9月以降の練習効果が大きく変わってきます。
この記事では、11月のフルマラソンにつなげるために、私が8月に取り入れたいと考える3つの練習について紹介します。
8月にフルマラソンを仕上げる必要はない
まず、8月の練習で重要なことがあります。
それは、8月にフルマラソンを走れる身体を完成させる必要はないということです。
11月のレースであれば、本番まではまだ約3カ月あります。
しかも8月は気温も湿度も高く、ランニングには厳しい季節です。
涼しい時期と同じ設定ペースで走ることは不可能だと思っていただいて問題ありません。
そこで私は、8月を、「秋に質の高いマラソン練習をするための準備期間」として考えるのが良いと思っています。
イメージとしては、
という流れです。
では、その土台を作るために8月は何をすればいいのか。
私がおすすめしたい3つの練習を紹介します。
① 2部練で距離を踏む
一つ目は2部練です。
8月は暑いため、一度に長い距離を走るのが難しくなります。
例えば20km走ろうと思っても、気温が高ければ後半はペースが大きく落ち、身体へのダメージも大きくなります。熱中症のリスクも高まります。
そこで使えるのが2部練です。
例えば、朝10km+夕方10kmに分ければ、1回あたりの負担を抑えながら1日20km走ることができますし、精神的な負担も軽減できます。
もちろん、10km+10kmにこだわる必要はありません。朝8km+夕方6kmでもいいですし、朝12km+夕方5kmでも問題ありません。
大切なのは、夏に無理して一度に長い距離を走るのではなく、分割することで走行距離を確保することです。
2部練の目的は「月間走行距離を積み上げること」
私が2部練を取り入れる最大の目的は、走行距離です。
フルマラソンでは42.195kmを走り続けなければなりません。
そのためには、ポイント練習だけではなく、日々のジョグによって心肺機能や脚の持久力を作っておく必要があります。
ただ、真夏に一度に長い距離を走ろうとすると負担が大きくなります。そこで距離を分割する。
1回の練習効果だけを考えるのではなく、1週間、1か月という単位でどれだけ継続して走れるかを考える。
これが2部練を取り入れるメリットです。
私自身、月間走行距離を増やしていく過程で、速いペースそのもの以上に「速いペースを長く維持する能力」が伸びたと感じています。
秋に30km走やマラソンペース走を始める前に、まず8月に走れる身体を作っておく。
そのために2部練は非常に使いやすい方法です。
月間走行距離によって私自身の走力がどう変化したのかについては、別記事で詳しくまとめています。
② 中強度走で持久力を高める
二つ目は中強度走です。
8月は暑いからといって、すべての練習をゆっくりジョグにする必要はないと私は考えています。かといって、毎週厳しいインターバル走や長いTペース走を行うのも負担が大きくなります。
そこで取り入れたいのが中強度走です。
私が考える中強度走の感覚は、頑張って走る」というより、ある程度速いペースを余裕を持って押していくイメージです。
ペースでいうとMペースからEペース上限付近になると思います。ただし、暑い時期ですので普段の中強度走のペースより10~20秒程度落として問題ありません。ジョグより速いペースで走り体に刺激が入るものの、翌日に疲労を残さないペースです。
中強度走のペース設定については別記事でまとめています。
夏は設定タイムにこだわり過ぎない
夏の中強度走で注意したいのがペースです。気温が高ければ、当然同じペースでも身体への負荷は大きくなります。そのため、冬に走れていたペースをそのまま設定する必要はありません。
ペースだけではなく、
なども確認しながら走ります。
夏にタイムを追い過ぎて練習を失敗するより、適切な強度で継続することの方が重要だと思っています。
中強度走が秋のマラソン練習につながる
中強度走を継続すると、ジョグだけでは得にくい「ある程度速いペースを維持する能力」を鍛えることができます。
この能力はフルマラソンでも非常に重要です。9月、10月になってマラソンペース走などを行うとき、その土台となるのが夏に積み重ねた持久力です。8月にいきなりマラソンペースで長距離を走り込むのではなく、中強度走によって少し余裕を残しながら強度を確保する。
そして涼しくなってから、徐々にマラソン向けの練習へ移行していく。私はこの流れが良いと考えています。
中強度走のペース設定など、具体的な練習方法については別記事でまとめています。
③ 200mレペティションでランニングエコノミーを向上させる
三つ目は200mレペティションです。
「フルマラソンの練習なのに200m?」と思う人もいるかもしれません。
しかし私は、フルマラソンを目標にしていても、短い距離を速く走る練習には意味があると考えています。
夏の暑い時期は、ポイント練習として閾値走やインターバルをするのが難しい時期となります。
そこで200m程度の短い距離を速く走るレペティションが適しています。
200mなら夏でもスピードを出しやすい
1000mインターバルを何本も行う場合、高温下ではかなり苦しい練習になります。
一方で200mであれば、1本あたりの疾走時間が短くなります。
200mを速く走り、しっかり回復してから次の1本へ。レペティションでは1本1本の動きを大切にします。
目的は限界まで心肺を追い込むことではありません。
速い動きを身体に染み込ませランニングエコノミーを向上させること。
これが重要だと考えています。夏の暑い時期にランニングエコノミーを向上させておくと、秋以降のスピード練習の効果が変わってきます。
スピードがあるからマラソンペースにも余裕が生まれる
フルマラソンでは最高スピード以上に持久力が重要です。
しかし、だからといってスピードが必要ないわけではありません。
例えば同じ4’15/kmで走る場合でも、最高速度に近いランナーと、もっと速いペースで走れるランナーでは余裕度が違います。
夏の間に200mレペティションで速い動きを維持しておけば、秋になってTペース走やマラソンペース走へ移行するときにも役立ちます。
走行距離を増やして持久力を作りながら、短いレペティションによってスピードを身に付ける。
レペティションは大切な練習ですが、フルマラソンをメインとする市民ランナーはあまり取り組む機会がないと思います。夏の暑い時期にポイント練習として実施することをお勧めします。
レペティションのペース設定などの具体的練習方法については別記事でまとめています。
3つの練習にはそれぞれ役割がある
今回紹介した3つの練習は、それぞれ目的が違います。
| 練習 | 主な目的 | 11月へのつながり |
|---|---|---|
| 2部練 | 走行距離・基礎能力 | 秋のロング走に耐えられる身体を作る |
| 中強度走 | スピード持久力の土台 | マラソンペースを維持する土台を作る |
| 200mレペティション | ランニングエコノミー向上 | スピード練習にスムーズに移行する |
私は、どれか一つだけを行えばいいとは考えていません。
「量」「持久力」「スピード」をそれぞれ刺激する。
長い距離や強度の高い練習が難しい8月だからこそ、この3つの練習が重要です。
特に2部練と中強度走だけでは、練習が持久力側に偏りやすくなります。そこに200mレペティションを入れることで、短時間でも速い動きを身に付けることができます。
この3つを組み合わせながら、秋の本格的なマラソン練習に備えます。
8月はタイムが遅くても焦らなくていい
夏の練習で私がもう一つ伝えたいのが、タイムが遅くなっても焦らなくていいということです。
暑ければペースが落ちるのは当然です。冬なら楽に走れるペースが苦しく感じることもあります。
そこで、「走力が落ちた」と考えて無理に設定ペースを上げる必要はありません。
8月に重要なのは、11月のレースタイムではありません。
暑い中でも練習を継続して、秋につながる身体を作れているか、が大切です。
気温が下がれば、夏に積み重ねてきた走行距離や中強度走が必ず生きてきます。
そのタイミングで徐々にマラソンペースの練習やロング走を増やしていけばいいのです。
8月から11月までのイメージ
11月にフルマラソンを走るのであれば、私は次のような流れをイメージします。
8月:土台作り
2部練で走行距離を確保し、中強度走で持久力を鍛え、200mレペティションでスピードを維持する。
9月:マラソン練習への移行
気温が下がり始めたら、少しずつ長い距離の練習を増やします。マラソンペースも意識し始めます。
9月に実施すべき練習については別記事でまとめています。
10月:フルマラソンへの仕上げ
ロング走やマラソンを意識した練習を行い、42.195kmを走るための身体へ仕上げていきます。
11月:疲労を抜いて本番へ
ここまで積み重ねてきた練習を信じて、レース前は疲労を抜きます。
つまり、8月は11月のレースから逆算すると、「速く走るための準備を始める月」です。8月の時点で完成している必要はありません。
市民ランナーへお勧めの練習年間スケジュールは別記事でまとめています。
夏に無理をし過ぎない
最後に、夏の練習では暑さへの注意が必要です。
今回紹介した2部練、中強度走、200mレペティションも、暑い時間帯に無理して行う必要はありません。
できるだけ気温の低い時間帯を選び、給水を行いながら、その日の気温や体調によって練習内容を変更することも大切です。
特に「予定していた練習だから」と無理に設定ペースを守る必要はないと思っています。
11月で記録を狙うのが目的です。8月に無理をして練習を継続できなくなっては意味がありません。
夏はタイム以上に、継続することを大切にしたい時期です。
まとめ|8月の練習が11月のフルマラソンにつながる
11月のフルマラソンに向けて、私が8月におすすめしたい練習は次の3つです。
①2部練で距離を踏む
一度に長い距離を走るのが難しい夏でも、練習を分割することで走行距離を確保します。
②中強度走
ジョグより速く、Tペース走ほど追い込まない強度で走り、速いペースを維持するための土台を作ります。
③200mレペティション
短い距離を速く走ることでランニングエコノミーを向上させ、秋以降のスピード練習に備えます。
8月にフルマラソンを完成させる必要はありません。
8月に土台を作り、9月にマラソン練習へ移行し、10月に仕上げ、11月に本番を迎える。この流れを意識することで、夏の練習にも明確な目的ができます。
夏は暑く、思うようなペースで走れない日もあります。それでも焦らず練習を積み重ねる。11月のフルマラソンで快走するための準備は、暑い8月から始まっています。
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