この記事は、普段から継続して練習しており、11月中旬のフルマラソンで記録更新を狙う市民ランナーを主な対象としています。
走力によって適切なペースや距離は異なるため、自分の状態に合わせて調整してください。
11月中旬のフルマラソンまで、あと約1カ月。
10月は、本番のレースペースや距離へ身体を慣らす時期です。
9月に閾値走、ロングジョグ、距離走へ取り組んできたランナーは、10月からフルマラソンに特化した練習へ移行します。
9月までは、速く走る力と長く走る力をそれぞれ高めてきました。10月は、それらをフルマラソン本番で発揮できる走力へ変えていきます。
9月に実施したい練習については、次の記事でまとめています。
10月に取り入れたい練習は、次の3つです。
この記事では、それぞれの目的やペース、1週間の組み方、11月のテーパリングまでの流れを解説します。
10月はマラソン特異性を高める時期
11月中旬にフルマラソンを走る場合、練習の流れは次のようになります。
10月は、レースペース走と距離走を中心に、フルマラソン本番を想定した再現性の高い練習を実施します。
ただし、毎回の練習を本番のように追い込むわけではありません。
レースペース走では本番のスピードへ身体を慣らし、距離走では42.195kmを走り切るための持久力を高めます。
それぞれの練習に役割を持たせ、負荷の高い練習を連日行わず、間に回復日を設けることが大切です。
フルマラソンへ向けた年間の練習の流れは、次の記事でまとめています。
①レースペース走で本番のペースへ慣れる
10月にまず取り入れたいのが、フルマラソンの目標レースペースで走る練習です。
Mペースとは、フルマラソンのレースペースを指します。この記事では、わかりやすく「レースペース走」と表記します。
目標タイムごとのレースペースは、次のとおりです。
| 目標タイム | レースペースの目安 |
|---|---|
| サブエガ | 約4分02秒/km |
| サブ3 | 約4分16秒/km |
| サブ3.5 | 約4分59秒/km |
レースペース走の目的は、本番と同じスピードを楽に感じられる状態へ近づけることです。
さらに、レースペースでの走動作を繰り返し、本番のスピードでも力まず、余裕を持った走動作を身につけることも目的です。
ジョグとレースペースでは、脚の回転、歩幅、接地の感覚、腕振りなどが変わります。レースペース走を繰り返すことで、本番のペースに合ったフォームやリズムを身体に覚えさせます。
フルマラソンでは、目標ペースを数km走れるだけでは足りません。呼吸やフォームを乱さず、効率のよい走動作を長時間維持する必要があります。
レースペース走は16kmを目安にする
レースペース走は、16km程度を一つの目安とします。
9月までに十分な練習を積めている場合は、最初から16kmへ取り組んでもよいでしょう。不安がある場合は、10kmや12kmから始めて距離を伸ばします。
レースペース走で確認するのは、次の3点です。
・設定ペースで呼吸・心拍数に余裕があるか
・力まずフォームを維持できるか
・終了時に余裕が残っているか
16kmを走り切れても、最後まで力んでいたり、終了時に完全に追い込まれていたりすれば、フルマラソン本番で維持するのは難しい状態です。
レースペース走はタイムトライアルではありません。終了後に「もう少し走れそう」と感じられる余裕を残すことが大切です。
Mペースの考え方や距離の設定については、次の記事で詳しく解説しています。
②距離走で30km以降の脚を作る
2つ目は距離走です。
距離走の目的は、長時間走り続ける持久力と、疲労した状態でもフォームやペースを維持する力を身につけることです。
フルマラソンでは、30kmを過ぎてから脚が動かなくなることがあります。
レースペースで10kmや16kmを走れるだけでは、30km以降の失速を防げません。距離走によって、長い時間走ることへ身体を慣らす必要があります。
10月は距離走とレースペース走を2回程度行う
10月は、30km距離走と16kmレースペース走をそれぞれ2回程度実施します。
強度や距離については、9月までの練習内容を踏まえて調整してください。
10月にフルマラソンへ特化した練習を行えるように、8月と9月から逆算して土台を作っておくことが大切です。11月の目標達成に向けて、10月の練習は大きな意味を持ちます。
ただし、9月に距離走や長時間のロングジョグを行っていない場合は、いきなり30kmを走る必要はありません。
1回目を20kmまたは25kmとし、翌日以降の疲労や脚の状態に問題がなければ、2回目を25~30kmへ伸ばします。
16kmのレースペース走が負担になる場合も、10~12kmへ短縮して構いません。
30kmや16kmという数字にこだわらず、9月までの練習から無理なく負荷を高めましょう。
30km距離走はレースペースより10~30秒/km遅くする
30km距離走は、目標レースペースより1kmあたり10~30秒遅いペースを目安にします。
| 目標タイム | レースペース | 30km距離走の目安 |
|---|---|---|
| サブエガ | 約4分02秒/km | 4分12秒~4分32秒/km |
| サブ3 | 約4分16秒/km | 4分26秒~4分46秒/km |
| サブ3.5 | 約4分59秒/km | 5分09秒~5分29秒/km |
距離走へ慣れており、最後まで余裕を保てるランナーは、レースペースより10秒/km程度遅い設定でもよいでしょう。
長い距離への対応がまだ十分でない場合や、疲労がある場合は、20~30秒/km程度遅くします。
大切なのは、設定ペースを速くすることではなく、30kmを通して安定した力感で走り、余力を残して終えることです。
前半からペースを上げ過ぎると、後半に失速してフォームが崩れます。それでは、本番に向けた再現性の高い練習になりません。
距離走の失速には、ペース、脚の持久力、補給、疲労など複数の原因があります。
30km走は本番3週間前までに終える
30km距離走は負荷が高く、終了後も疲労が残ります。
11月中旬にレースを走る場合、最後の30km走は本番3週間前までに終えます。
そのため、4週目の30km走が本番3週間前を過ぎる場合は、逆算し全体の練習を前倒しします。
日程上、3週間前までに実施できなかった場合は、レース直前へ無理に振り替える必要はありません。距離を短くするか、そのまま中止して疲労を抜くことを優先します。
30km走を1回飛ばしたことで、それまで積み上げてきた走力が急に失われるわけではありません。直前に無理をして疲労や痛みを残す方が、本番への影響は大きくなります。
③ロングジョグと閾値走で不足する部分を補う
10月はレースペース走と距離走が中心ですが、それだけで練習を組み立てるわけではありません。
ロングジョグで走行時間を確保し、閾値走や少し遅めのペース走でスピード持久力を維持します。
日曜日のロングジョグは120~150分
土曜日に16kmのレースペース走を行った週は、日曜日に120~150分のロングジョグを行います。
ペースは普段のジョグ程度か、それより遅くても構いません。
目的は、土曜日の疲労が少し残った状態で長時間動き、週末全体の走行距離を確保することです。
ただし、土曜日のレースペース走による疲労が大きい場合は、120~150分にこだわる必要はありません。
脚が重い、普段のジョグペースでもきつい、フォームが崩れるといった場合は、90分程度へ短縮するか、短い回復ジョグへ変更します。痛みがある場合は休養します。
土曜日と日曜日を合わせた練習負荷が高くなりすぎると、翌週のポイント練習へ影響します。予定した時間を走ることより、次の練習へつながる状態で終えることを優先します。
土曜日に30km距離走を行った週は、日曜日を回復ジョグまたは休養にします。
距離走の翌日に無理をしてロングジョグを行うと、疲労が抜けず、翌週の練習へ影響する可能性があります。
距離走やレースペース走の後に筋肉の張りを感じたときは、筋膜リリースガンでセルフケアを行う方法もあります。私が使用しているuFit RELEASER Miniの使用感は、別記事で紹介しています。
水曜日は短い時間で質を確保する
水曜日は、土曜日の練習内容に合わせて次のメニューから選びます。
土曜日に16kmレースペース走を行う週は、水曜日を20分間の閾値走、または8~10kmの閾値走より少し遅いペース走にします。
土曜日に30km距離走を行う週は、水曜日に20分間の閾値走、または10kmレースペース走を行います。
平日は練習時間を確保しにくいため、短い時間で終えられる内容をおすすめします。
閾値走より少し遅いペース走は、強度を抑える代わりに走る時間や距離を延ばし、有酸素能力やスピード持久力を高める練習です。
距離とタイムは以下を目安に実施してください。
閾値走のペース設定については、次の記事で詳しく解説しています。
10月の4週間の練習例
10月の練習例は次のとおりです。
| 週 | 水曜日 | 土曜日 | 日曜日 |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 8~10kmの遅めのペース走 | 16kmレースペース走 | 120~150分ロングジョグ |
| 2週目 | 20分間の閾値走 | 30km距離走 | 回復ジョグまたは休養 |
| 3週目 | 8~10kmの遅めのペース走 | 16kmレースペース走 | 120~150分ロングジョグ |
| 4週目 | 10kmレースペース走 | 30km距離走 | 回復ジョグまたは休養 |
「遅めのペース走」は、閾値走より少し遅いペースを想定しています。
9月に距離走を実施していない場合は、2週目の30km距離走を20kmまたは25kmへ変更します。なお、実際のレース日から逆算し、最後の30km走が本番3週間前までに終わるように調整してください。
レースペース走の翌日に行うロングジョグも、120~150分を必須とするわけではありません。土曜日の疲労が大きい場合は、時間を短縮するか回復ジョグへ変更してください。
この練習例を必ずすべて実施する必要はありません。
脚に痛みがある場合や、疲労によって普段のジョグでも身体が重い場合は、ポイント練習を減らします。予定を守ることよりも、レースまで練習を継続することの方が重要です。
10月に補給と装備を完成させる
10月のレースペース走や距離走では、補給と装備も本番に近づけます。
確認しておきたいのは、次のような項目です。
特に補給ジェルは、本番で初めて使用しないようにします。
味や粘度が合わなかったり、走りながら開封できなかったり、胃腸へ違和感が出たりする可能性があります。
30km距離走で実際に使用し、摂取後も問題なく走れるか確認しておきましょう。
私がフルマラソンで使用したアミノサウルスジェルについては、味や携帯性、走りながらの開封、摂取したタイミングを実走レビューで紹介しています。
ウェアやタイツも30km距離走で使用し、着圧やズレ、擦れがないか確認しておきましょう。
私がポイント練習やフルマラソンで使用している2XUハーフタイツ3種類については、着圧やポケットの違いを別記事で比較しています。
補給ジェルを携帯する方法も、距離走で確認しておきましょう。
私がフルマラソンで使用したTIGORAのマルチポケットランニングショーツについては、収納力や走行中の揺れを別記事で紹介しています。
11月前半は2週間のテーパリング
10月にマラソン特異的な練習を終えたら、11月前半は約2週間かけて練習量を減らします。
短いレースペース走などで動きを保ちながら、10月までに蓄積した疲労を抜いて本番を迎えます。
具体的な練習量やメニューは、次の記事でまとめています。
まとめ
11月中旬のフルマラソンへ向けて、10月に取り入れたい練習は次の3つです。
①レースペース走
本番のペースと走動作へ慣れ、余裕を持って走れるか確認する
②距離走
レースペースより10~30秒/km遅いペースで、30km以降に耐えられる脚を作る
③ロングジョグ・閾値走
走行時間を確保しながら、スピード持久力を維持する
ポイント練習は、水曜日と土曜日の週2回を基本とします。
水曜日は短時間で終えられる閾値走、遅めのペース走、10kmレースペース走を行います。
10月は、30km距離走と16kmレースペース走をそれぞれ2回程度実施します。ただし、距離や強度は9月までの練習内容を踏まえて調整します。日曜日は土曜日の負荷に合わせて、120~150分のロングジョグ、回復ジョグ、休養から選び、週全体の負荷を調整します。
9月に距離走を実施していない場合は、最初の距離走を20kmまたは25kmへ短縮します。また、最後の30km走は本番3週間前までに終えましょう。
10月は、本番へ向けて最も負荷が高くなる時期です。
練習をこなすことだけを目的にせず、呼吸、心拍数、フォーム、終了時の余裕、翌日の疲労まで確認しましょう。
10月までにレースペースと距離へ対応し、11月前半の2週間で疲労を抜いて本番を迎えます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
関連記事
・11月のフルマラソンにつなげる9月の練習3選|閾値走・ロングジョグ・距離走
・フルマラソンの年間練習計画|市民ランナーの1年間のメニューを月別に解説
・ダニエルズ理論でフルマラソン練習メニューを作る方法|週の組み方と30km走の考え方
・閾値走のペースはキロ何分?Tペースの設定方法をVDOT・10kmタイムから解説






コメント