私がモデレート走を取り入れたきっかけは、フルマラソンで2時間30分切りを達成した方の練習方法でした。
その方はインターバル走や閾値走のようなポイント練習より、モデレート走を重要視して練習を組み立てられていたました。
モデレート走中心でフルマラソン2時間30分切りまで能力を伸ばされた練習方法を知って、「自分に足りないのは持久力の土台ではないか」と考え、練習の一部として取り入れることにしました。
実際に続けてみると、ジョグだけで基礎養成期を過ごしたときより、閾値走などのポイント練習へスムーズに移行できるようになったと感じています。その後も継続して練習に取り組むことができ、走力の向上につながりました。この記事では、私の考えるモデレート走の効果、ペース設定、取り入れ方を紹介します。
モデレート走とは?
私が「モデレート走」と呼ぶのは、Eペースより速く、Mペースより遅い強度で一定のペースを維持する練習です。ダニエルズのペースには登場してこないペース帯です。
ジョグより高い負荷をかけながらも、閾値走などのポイント練習ほど追い込まず、日常的に持久力の土台を養い強度の高い練習へつなげることが目的です。
体感は「ジョグの延長線上だけれど、楽ではない」。呼吸は多少弾むものの息切れするほどではなく、脚に強いきつさはありません。ただ、ジョグより少し力を込めて走る必要があります。
最も大切なのは、翌日も普段どおりジョグができる強度に抑えることです。
ただし、翌日に走れるからといって疲労が残っていないとは限りません。練習を継続する中で疲労が蓄積していないか、普段のジョグの感覚やポイント練習への影響も確認する必要があります。
EペースとMペースについては別記事でまとめています。
モデレート走を取り入れて感じた効果
①ポイント練習への移行がスムーズになった
ジョグだけで基礎養成期を過ごしたときは、20分間の閾値走などのポイント練習に移行する際、ペースやきつさの差が大きく、予定どおりにこなせなかったり、設定ペースを落としたりすることがありました。
モデレート走を取り入れてからは、ポイント練習に取り組む精神的なハードルが低くなり、走るための脚力がついた感覚もありました。
モデレート走と閾値走の違い
モデレート走と閾値走は、どちらも一定の負荷をかけて持久力の向上を目指す練習ですが、強度と目的が異なります。
閾値走は、乳酸性作業閾値付近の比較的高い強度で走り、その強度を維持する能力を高める練習です。一方、モデレート走はそれよりも強度を抑え、日常の練習で持久力の土台を積み上げることを重視しています。
モデレート走だけで閾値走の効果をすべて代替できるわけではありませんが、基礎養成期に取り入れることで、強度の高い練習へ移行しやすくなると感じています。
閾値走については別記事でまとめています。
②限られた時間で負荷をかけられる
仕事をしながら走る市民ランナーにとって、練習時間は貴重です。モデレート走なら、同じ距離をジョグより短時間で走りながら、少し高い負荷をかけられます。
平日にまとまった練習時間を確保できず、閾値走やインターバル走を実施できないときは、モデレート走を活用する方法もあります。ただし、練習頻度を増やす場合は疲労の蓄積に注意し、普段のジョグやポイント練習に悪影響が出ないよう調整することが大切です。
実際にフルマラソンへ向けてモデレート走を3ヶ月実施した結果は別記事でまとめています。
ペース・心拍数・距離の設定方法
モデレート走は、現在の走力に応じてペースを設定する必要があります。
ダニエルズのVDOTなどを参考に、現在のレース記録からEペースとMペースを確認し、その間の強度を一つの目安にします。
大切なのは、目標タイムではなく、現在の走力を基準にすることです。例えば、フルマラソンでサブ3を目指しているからといって、最初からサブ3相当のペースで練習する必要はありません。
私が考える基本的な目安は次のとおりです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| ペース | Eペースよりやや速く、Mペースより遅い |
| 心拍数 | 最大心拍数の74~84% → 私の場合は140~160bpm |
| 距離 | 8~15km(私の実施例) |
| 時間 | 初めは30~40分程度を目安に調整、慣れれば60分程度まで |
| 走り方 | 基本的に一定ペース |
初めて取り組む場合は、短めの時間から始め、主観的なきつさと翌日の疲労を確認しながら、少しずつ距離を延ばしていきます。
体感としては「ジョグより速いけれど、呼吸が大きく乱れるほどではない」程度。余裕を持って一定ペースを維持できることを重視します。
心拍数はオーバーペースを防ぐための補助指標として活用します。
ただし、心拍数は走り始めから徐々に上昇し、気温や湿度、坂道、疲労によっても変わります。同じペースでも心拍数が上がり続けたり、呼吸が想定以上に苦しくなったりした場合は、ペースを落として調整します。
調子がよい日でもむやみにペースを上げず、ペースと距離を同時に増やさないことが大切です。
ダニエルズ理論の各ペースについては別記事でまとめています。
週何回?基礎養成期の週間メニュー
私は基礎養成期に週2~3回を目安として取り入れています。
ただし、週2~3回は私自身の練習量や走力を踏まえた頻度です。すべての方が同じ回数を実施する必要はありません。
初めて取り入れる場合は週1回から始め、普段のジョグやポイント練習に悪影響がないことを確認しながら、必要に応じて回数を増やすのがよいと思います。
週末にロングジョグやRペース練習を実施する場合は週2回、週末のポイント練習を行わずモデレート走を中心にする場合は週3回という組み方が考えられます。
| 曜日 | 週2回の場合 | 週3回の場合 |
|---|---|---|
| 月 | 休養 | 休養 |
| 火 | モデレート走 | モデレート走 |
| 水 | ジョグ | ジョグ |
| 木 | モデレート走 | モデレート走 |
| 金 | ジョグ | ジョグ |
| 土 | ロングジョグまたはRペース練習 | モデレート走 |
| 日 | ジョグ | ジョグ |
どちらもモデレート走の間にジョグを挟み、負荷が連続しないようにしています。
ただし、モデレート走は翌日に大きな疲労を残さない強度とはいえ、睡眠不足や仕事の疲れなどによって身体の状態は変わります。
疲労が残っている場合は無理に実施せず、ジョグに変更します。
週2回か3回かという回数にこだわるのではなく、疲労を管理しながら継続できる練習を組み立てることが大切です。
レースに向けた特異的練習への移行
私はフルマラソンに向けた練習では、目標レースの約2か月半前を目安に、モデレート走から特異的練習へ移行しています。
モデレート走をしっかりと実施し持久力の土台を築いた後に、閾値走やマラソンペース走、距離走など、レースに向けて必要な練習に取り組みます。
モデレート走で土台を築き、特異的な練習を取り入れレースに向けて仕上げていく必要があります。自分に合う部分を取り入れ、必要な練習を選ぶことが大切です。
もちろん、年間を通して仲間とポイント練習を楽しむのもよいと思います。練習には適切な段階がありますが、楽しく走ることも大事にしたいです。
フルマラソンへ向けての年間練習計画については別記事でまとめています。
失敗しないために大切なこと
注意したいのは、ペースを上げすぎることと、高頻度でやりすぎることです。モデレート走も頑張りすぎると疲労がたまり、ポイント練習の質や継続性を損ないます。
私の場合、脚が重く普段のEペースでも走れない日は、ゆっくりジョグに変更します。睡眠不足や仕事の疲れだけでなく、気分が乗らない日も同じです。モデレート走は楽な練習ではないので、気持ちが向かない日に無理に実施する必要はありません。
そんな日は、ゆっくりジョグをした自分をほめましょう。笑
ただし、記録を更新するためには必要な負荷を継続してかけることも大切です。しかし、疲労が強い状態で無理に練習を続けても、思うような効果は得られません。
頑張るべき日と、疲労を抜くべき日を自分で判断することも、走力を高めるために必要な能力だと思います。
まとめ
モデレート走は、ジョグより高い負荷をかけながら、持久力の土台を養うことを目的とした練習です。
初めて取り入れる場合は週1回から始め、普段の練習や翌日の疲労を確認しながら調整してみてください。私は基礎養成期に週2〜3回を取り入れています。
忙しい市民ランナーさんでも取り組みやすく、対時間効果の高い練習です。目標・自己ベストを達成するためにぜひ取り組んでみてください。
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